旅 是 道場 色々なことを教えてくれる自転車旅
秋田県を走ったときのこと。
その日の行程を終え、とある商店で休憩しているうちに、買い物に来た地元のおじさんと意気投合しました。
その方はたまたま宮田のMTBに乗られていて、自転車が好きでした。
すっかり意気投合してしまい、なんとその日の夜はその方のご自宅に泊めていただくことに。
ご家族から「ドコから拾ってきたの~」というブーイングが出つつも大変温かく迎えてくださり、間断ない手厚いもてなしを受けました。
まるで親戚のような温かさで、すっかり他人でなくなり、「また必ず再訪しますので、一緒にどこかへサイクリングに行きましょう」と、おじさんに話をしました。
その時のおじさんの返事が、今でも時々思い出されます。
「行きたいんだけどなぁ、畑が気になってなぁ、なかなか出掛けられないんだぁ」
しみじみ語ってくれたその言葉が、心に響きました。
こうやって苦労して食物を作って下さる方がいるからこそ、普段、食べる事が出来るのだと思いました。
また後になって振り返ったとき、ああ、こうやって働く人がいてくれるから、自分はあのとき休みを取って旅に出掛けることが出来たんだな、とも思いました。休みというのは当たり前にあるのではなく、誰かが作ってくれているんだなと。世の中がお皿なら、人の働きは皿回し。お皿が落ちて割れないよう、みんな変わりばんこに回しているんですね。
おじさんはなかなか気兼ねなく使える休日がなく、「休日はドコそこに出掛けよう」と考える人からすれば息苦しく思われそうですが、温かい家族に囲まれ、その笑顔はとても幸せそうでした。結局、人生の幸せは人それぞれ、心の持ち方次第なんですね。
こういったことは理屈で語ればごくごく当たり前のことなのですが、いる場所やシチュエーション、相手によって、頭でなく心に響くのです。そして、こういうハプニングが不意に訪れるのが、旅の大きな魅力の一つだと思います。
こんなことを思って以来、旅はいろいろなことを教えてくれるんだと気付き、旅は人生の道場、「旅 是 道場」と思うようになりました。
自転車で旅していなかったら、おじさんと出会い、意気投合することもなかったかも知れません。
素敵な思い出が出来る自転車での旅。ぶらり気ままに出掛けてみませんか。
2011-04-18記 長山 靖
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